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浴衣ができるまで
一反のゆかた地が出来るまでには、永年の経験と勘、また優れた技と意匠を備えた職人の手と、 数えきれないほどさまざまな工程を経なければなりません。 ゆかたができるまでの工程には4つあります。
1つめは図案・型紙・型彫り・生地選び
2つめは染工場での地ごしらえ・乾かす・ずる巻き・しわのばし・糊づけ
3つめはやはり染工場での染色・糊落とし・乾燥・畳み
どの過程にも繊細で熟練された技術が必要とされます。
それぞれの過程を追いかけてみましょう。
まず図案です。ゆかた地の柄は、始めと終わりのない連続した幾何模様、或いは季節感豊かな飛び柄などが考えられます。またゆかたに仕立てた時に、縫い目で柄が重ならない様にも工夫され、細かい部分にも目が光ります。
多くの手間をかけられてつくられた上質の手漉き和紙を柿渋で張り合わせ、紙の伸縮をなくすために 窯に入れて薫製にします。 柿渋を塗った型紙の上に図案を置き、染め上がりを白くしたい部分を、刃先の細い独特の彫刻刀で切り取っていきます。残しておきたい型紙の部分がばらばらにならないように、絹糸で荒い蚊帳状に織ったものを張って、漆を塗り、接着固定します。 これで図案は完成です。
次にゆかたのもとになる白生地を織物工場で織ります。その後、生地は、繊維に染料がよく浸透するように高温釜で煮沸し、過酸化水素で漂白し、生地の油分や 汚れが取り除かれます。生地は畳まれて、染工場へ運ばれます。
生地を染める前に漂白されて届いた生地に更に染料(インディゴ)のための 浸透剤を入れて、4,5時間煮つめます。 煮詰めた生地は一反一反天日にあてて干していきます。乾いた生地をミシンのような足踏みの生地巻き機に巻きつけ、のり巻き状に巻き取り、そのまま 2日ばかり置いてしわを伸ばします。
しわがのびたら、糊つけの作業に入ります。木のへらで型紙の上から 妨染糊を置きます。次にのり巻き状の白生地の中心にのし棒をさし込んで生地を回転させ、 1メートル広げては糊を置き、また折り返し同じ作業が続けられます。染めあがった一反を広げた時に11回の型紙(柄)のつなぎ目をどうすっきり見せるかが 職人の腕の見せ所です。糊づけのすんだ反物には、糊が互いにくっつき合わないように大鋸屑(おがくず)をまいておきます。 こうして糊付けされた白生地をいよいよ染めていきます。
反物のまわりにゴムでできた枠を張り、80度くらいに沸かしたインディゴ染料を「やかん」と呼ばれる如露で反物の上から浸透しますが 更に浸透を促すため下から圧搾熱を送り、染料を酸化させます。ゴム枠をはずし、反物をすばやく振り開広げて空気に晒し、更に酸化・発色させます。 十分に発色したら川の水できれいに洗い流します。 洗い上がったゆかた地は その柄もとりどりに一反一反広げられ、天日で乾かされていきます。
染め上げられたゆかた地は整理工場へ送られます。そこでは50反から100反のゆかた地を ミシンで縫いつなぎ、糊をつけ、乾燥機にかけ、続いて幅出し機にかけます。次に、仕上げ場に 運ばれたゆかた地は、染めの斑を調べられ、最後の化粧をすべく、商標などが貼られます。
工場から戻った反物は小売店や百貨店にさばかれていきます。 一見単純な一反のゆかた地も誕生までには幾多の複雑な工程を経て、職人の技と意匠の映える 世界をつくりだしています。
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